内視鏡検査と『麻酔』について
掲載日:2024.12.12(最終更新日:2025.09.03)
皆さんこんにちは。内視鏡センター明石西の松本次弘です。
今回は、消化器内視鏡検査における『麻酔』についてお話しましょう。
消化器内視鏡検査は、胃や腸などの消化管の粘膜を直接観察することができる極めて有用な検査です。
]この検査では、患者さんの気持ちや身体の負担を軽減し、リラックスして検査を受けられるようにするため、しばしば『麻酔』を使用して行われます。
1.当院で施行している消化器内視鏡検査の種類
2.胃内視鏡検査・大腸内視鏡検査における『麻酔』とは
3.消化器内視鏡における『麻酔』:鎮静剤の利点
4.鎮静剤のリスクと注意点
5.鎮静剤を控えるケース
6.患者様がリラックスできる工夫
7.まとめ
1. 当院で施行している消化器内視鏡検査の種類
- •上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
咽頭や胃や食道、十二指腸を観察します。 - •下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)
大腸や直腸、小腸の終末部を観察します。当院ではポリープがあれば可能な限りその場で切除いたします。
これらの検査では、がんやポリープ、炎症などの病変を的確に診断することができます。
2. 胃内視鏡検査・大腸内視鏡検査における『麻酔』とは
消化器内視鏡検査においての、『麻酔』とは、一般的に鎮静剤の静脈注射を指します。鎮静剤とは興奮を鎮めたり、眠ったような状態になれる薬剤のことを言います。
手術室で行われるような全身麻酔は一般の内視鏡検査では行いません。
『麻酔』:鎮静剤の種類
- •ミダゾラム
短時間作用型の鎮静剤で、内視鏡検査によく使用されます。 - •プロポフォール
鎮静効果が強く、短時間で効果が現れ、覚醒も早いのが特徴です。
3. 消化器内視鏡における『麻酔』:鎮静剤の利点
- •痛みや不快感を軽減
特に、胃カメラや大腸カメラでの吐き気や違和感・痛みを減らします。 - •リラックス効果
検査への恐怖感や緊張を和らげます。 - •医師が検査をスムーズに行える→検査のクオリティーが上がる
患者様がリラックスしているため、内視鏡の挿入や操作がしやすくなります。また十分な送気が可能となり、ヒダとヒダの間の小さな病変も検出可能となります。 - •次回の検査へのハードルが下がる
定期的なフォローップが可能となることも大きなメリットです。
4. 鎮静剤のリスクと注意点
鎮静剤の使用には、以下のリスクや注意点があります。
主なリスク
- •呼吸抑制
鎮静剤の影響で呼吸が浅くなる可能性があります。 - •血圧低下
鎮静剤によるリラックス効果で血圧が下がることがあります。 - •アレルギー反応
ごくまれに、薬剤に対するアレルギー反応が起こる場合があります。
当院では熟練した医師と熟練したスタッフが鎮静中も安全に検査ができるよう責任を持って管理しています。
注意点
- •検査後は数時間、集中力が低下する可能性があるため、車の運転や機械操作は避けてください。
5. 鎮静剤を控えるケース
鎮静剤を使うかどうかは、患者さんの希望や状態、医師の判断によります。以下の場合は、鎮静剤の使用を控えることがあります:
- •高齢で全身の状態が悪い場合
- •重度の呼吸器疾患や心疾患がある場合
- •鎮静剤アレルギーの既往がある場合
6. 患者様がリラックスできる工夫
私は、全ての患者様に丁寧でやさしい内視鏡操作を心掛けています。それに加えて、音楽をかけたり、こまめに声かけをかけたり、背中をなでたり、部屋を暗くする等、なるべく検査を受ける方がリラックス出来るように工夫をしています。
「内視鏡検査は辛い」というイメージから、検査を受けないで病気の発見が遅れることは避けなければなりません。胃がんや大腸がんは発見が早ければ根治できる可能性が高い疾患です。ぜひ内視鏡センター明石西の「辛くない」内視鏡検査を受けてみられてはいかがでしょうか。
7. まとめ
- •胃カメラ、大腸カメラで使用する『麻酔』は不安感を和らげ、眠った状態やウトウトした状態になる鎮静剤を検査前に投与することです。
- •『麻酔』によって不安や苦痛を和らげるのみでなく、検査自体のクオリティーも上がります
- •鎮静剤使用中は熟練したスタッフが責任をもって患者様の状態を管理しています。安心して当院の内視鏡検査を受けてください。