中山クリニック内視鏡センター西明石

クローン病とは

Crohn(クローン)病は潰瘍性大腸炎と同様に原因不明の炎症性腸疾患です。口から肛門までの全消化管がただれたり、潰瘍をつくることにより症状を引き起こします。症状としては、腹痛と下痢が最も高頻度に見られ、その他には発熱 、 体重減少、 血便、痔ろう、関節痛などです。発症原因がわかっていないため根治に導く治療法がなく、厚生労働省から難病指定を受けています。免疫反応によって過剰に作り出されたTNF-αという体内物質が炎症を起こしているということはわかっています。 クローン病の発病は若い方に圧倒的に多いのが特徴です。男性では20歳代、女性では10歳代に発病のピークがあります。男性と女性の比は1:2と男性に多く見られます。1970年代には希少疾患とされていましたが、 2014年には患者数が4万人を超え、現在も増加傾向が続いています。診断はCT、 胃カメラ・大腸カメラ、あるいは消化管造影などを中心に行っていきます。特に内視鏡検査での特徴的な所見や生検病理で診断確定に至ることが多いです。クローン病も潰瘍性大腸炎と同様に完治しない病気ですが、適切な治療が行われれば多くの患者様が「寛解(かんかい)」状態、つまり症状が抑えられた状態に回復します。しかしクローン病は寛解期にも病状が進行していることがあるため、注意が必要です。治療の基本は炎症を抑える薬物療法で、最近は多くの新しい治療薬が開発されています。症状が治まってきたら良い状態を維持するための薬物療法を行います。また、食事はクローン病の症状に影響することがありますので、ご自分に合った食事を見極めることが重要です。更に、クローン病では消化管の広範囲に炎症を生じることがあるため、食物を消化して必要な栄養素を吸収できなくなることがあり、 その際には栄養療法が必要です。進行して腸閉塞や穿孔、膿瘍などが起こった場合には、外科的手術が必要です。当クリニックではクローン病の診療を積極的にしていますので、ぜひご相談ください。

症状

初期の症状には腹痛や下痢が現れやすい傾向があります。血便や痔などが現れることもあるなど症状の現れ方には個人差が大きいため、疑わしい症状がありましたら早めに専門医の診断を受けるようにしてください。なお、症状が現れる活動期(再燃期)と一時的に治まる寛解期を繰り返しながら進行しますので、症状が治まっても油断は禁物です。治療で重要なのは、活動期にできるだけ早く炎症を鎮静化させて寛解期に導き、寛解期を長くキープしていくことです。寛解期に治ったと勘違いして治療を中断してしまうと再燃して強い炎症を起こします。寛解期にもしっかり治療を続けましょう。

  • 下痢
  • 血便
  • 腹痛
  • 発熱
  • 貧血
  • 切れ痔
  • 体重減少
  • 肛門の潰瘍

潰瘍性大腸炎とクローン病の違い

潰瘍性大腸炎と似ていますが、炎症が起こる範囲が異なっています。潰瘍性大腸炎は大腸だけに炎症を起こし、クローン病は口から肛門まで消化管のすべての場所に炎症が起こる可能性があります。病変は基本的に進行につれて肛門から口に向かって広がっていきますが、正常な組織をはさんだ先に現れることもあります。大腸型、小腸・大腸型、小腸型といったタイプごとに症状や治療法が変わってきます。特定の食材で症状が悪化するケースがあるため食事制限が必要になることもあります。

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クローン病と合併症

炎症は最初、粘膜の浅い部分からはじまります。進行すると炎症が粘膜の深い場所まで及ぶことがあり、深刻な合併症を起こすことがあります。大量出血、狭窄や閉塞、穿孔、膿腫、瘻孔などを起こすことがあり、腹膜炎など命にかかわる合併症を起こす可能性がある場合には緊急手術が必要になります。また、肝胆道系障害、結節性紅斑、口内炎などの合併症が起こることもあります。関節や皮膚、目に病変が現れる可能性もあります。

検査

症状の内容、起こった時期や推移、病歴などを問診でうかがいます。その上で、内視鏡検査、レントゲン検査、病理組織検査などから必要な検査を行って診断します。クローン病は肛門近くから炎症がはじまり、特有の病変があるため、大腸内視鏡検査で大腸粘膜を観察することで確定診断が可能です。

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治療

食事はクローン病の症状に大きく影響することがありますが、どの食材が炎症に影響するのかは個人差があります。そのため、ご自分に合った食材を慎重に見極めることが重要です。また、クローン病では消化管の広範囲に炎症を生じることがあるため、食物を消化して必要な栄養素を吸収できなくなることがあり、そうした際には栄養療法が必要です。
症状がある場合には炎症を抑える治療を行い、症状が治まってきたら良い状態をキープするための薬物療法を行います。なお、進行して腸閉塞や穿孔、膿瘍などが疑われる場合には、手術が必要です。
なお、クローン病は症状のない寛解期にも進行していることがあるため、治療を続けて症状をコントロールできている場合にも定期的な内視鏡検査は不可欠です。