中山クリニック内視鏡センター西明石

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群(IBS:irritable bowel syndrome)は、がんや潰瘍、炎症などの明らかな消化器の疾患がないにもかかわらず、 慢性的な腹痛が起こったり、下痢・便秘などの便通異常が起きる疾患です。 排便後、痛みが軽減されるという特徴があります。はっきりとした原因はわかっていませんが、 腸の機能をコントロールしている自律神経はストレスなどの影響を受けやすいため、 ストレスや過度な緊張、腸内細菌叢の変化などによって症状が起こることがよくあります。 診断基準はやや複雑ですが、症状が持続する場合は内視鏡検査で異常がないことを確認する必要があります。治療法としては内服薬によるものや、予防法として飲酒や香辛料などの刺激の強いものをさけ、過剰な脂肪摂取を控え禁煙するなどがあります。またストレッチや散歩などの適度な運動も有効です。当院では禁煙外来や栄養指導による食生活のご提案も可能です。ぜひご相談ください。

過敏性腸症候群の症状と分類

症状

  • 1週間以上、下痢の状態が続く
  • 1週間以上、便秘の状態が続く
  • 睡眠中は症状が起こらない

分類

症状の現れ方によって、腹痛を伴う下痢症状である「下痢型」、腹部と痛みと張りが伴う便秘症状である「便秘型」、便秘と下痢症状を併せ持つ「混合型」、いずれでもない「分類不能型」の4つに分類されます。

■下痢型

強い腹痛が急激に起こってトイレに駆け込むと、水分量の多い下痢を起こします。排便で一時的に症状が改善しますが、こうした症状を週のうちに何度も繰り返すことがあります。緊張や不安などのストレスによって症状を起こすことがよくあります。 男性に多いことが特徴です。

■便秘型

便が硬く、強くいきんでも排便が困難で残便感があり、腹痛を伴います。コロコロと丸い便や、それが固まった便が出ることが多くなっています。ストレスによって便秘症状が悪化しやすい傾向があります。

■混合型

腹痛と共に下痢や便秘を交互に繰り返します。多くの場合、腹部に不快感を伴います。

■分類不能型

硬めの便や軟便などを起こすことがありますが、便の状態に大きな問題はありません。膨満感や腹鳴、おならなどガスに関する症状を起こすこともあります。

原因

はっきりとした原因はわかっていませんが、食べ物、腸内細菌、ストレス、遺伝、粘膜の異常などが複雑に影響していると考えられています。消化器官のコントロールは自律神経が行っており、蠕動運動といった腸の機能も自律神経の影響を受けます。たとえば、蠕動運動が過剰になると下痢に、不足すると便秘になります。こうしたことから、自律神経のバランスの乱れが発症に大きくかかわっていると考えられています。

検査

過敏性腸症候群の主な症状には、下痢・便秘といった便通異常と腹痛があります。こうした症状は、難病指定されている潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性疾患、大腸ポリープや大腸がんなどの幅広い大腸疾患でも生じることがあります。症状だけで診断することは不可能であり、正確な診断には大腸カメラ検査が欠かせません。当院では専門医が高度な内視鏡システムを使って、痛みや不快感のない無痛の大腸カメラ検査を行っています。

大腸カメラ検査についてはこちら

治療法

下痢型・便秘型・交互型に合わせた治療を行います。その際には、症状の強さ、ライフスタイルなども考慮した処方を心がけています。QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を守るためには、患者様とのコミュニケーションが重要になってきます。治療方針をしっかり説明して、患者様ができるだけ快適に日常生活を送れるようにサポートしています。

予防

ストレスを上手に解消

ストレスが発症のきっかけになりやすいため、ストレスをできるだけ上手に解消することが重要です。睡眠時間をしっかり確保して、できるだけ毎日バスタブに浸かって体を芯まで温めましょう。枕などの寝具を変えることで深い睡眠をとれるようになることもあります。短時間でも趣味に没頭する時間やのんびりする時間を作り、オンとオフをしっかり切り替えた生活を心がけてください。

規則正しい生活リズム

生活リズムを整えると自律神経のバランスも整ってきて、腸の機能も正常になっていきます。毎朝決まった時間に起き、毎日3食をしっかりとりましょう。