潰瘍性大腸炎・クローン病の治療法と薬剤
はじめに:IBDの治療は長期戦です

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)は、慢性的な腸の炎症を引き起こす疾患であり、治療には長期間にわたる計画的な対応が必要です。 症状がない時期(寛解期)を維持し、再燃を予防することが大切です。
炎症性腸疾患(IBD)の治療と当院の取り組み
IBD治療は長期管理が必要

炎症性腸疾患(IBD:潰瘍性大腸炎・クローン病)は、根治が難しい疾患ではありますが、適切な治療により症状をコントロールすることは十分に可能です。
当院では、IBD治療に長年携わってきた専門医が、患者様一人ひとりの病状やライフスタイルを丁寧に把握し、その方に最適な治療法をご提案しています。 最新の診療ガイドラインに基づき、薬物療法や生物学的製剤に加え、栄養療法や生活習慣の見直しにも対応。安心して治療を継続していただける体制を整えております。
明石市でIBD外来をお探しなら当院へ!

現在、約150名のIBD(炎症性腸疾患)の患者様の診療をしております。通院している患者様は下記に挙げる、生物学的製剤の点滴や注射、経管栄養療法の患者様、在宅中心静脈栄養の患者様、短腸症候群の注射の方もいらっしゃいます。
生物学的製剤に関しましては、保険適応の薬剤は当院で全て使用する事が可能です。中山クリニック 内視鏡センター明石西では、患者様の「いまの症状」だけでなく、これからの生活の質(QOL)を見据えた治療をご提案しています。
治療に関して不安なことや、他院での治療方針への疑問なども、お気軽にご相談ください。
使用する薬剤や治療法について
①5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)
【代表薬】
メサラジン(ペンタサ®、アサコール®、リアルダ®)、サラゾスルファピリジンなど
【特徴】
炎症を抑える基本薬。軽症〜中等症の潰瘍性大腸炎に使用されます。
【剤型】
内服薬、注腸剤、坐薬など症状の部位に応じて使い分けます。
②副腎皮質ステロイド
【代表薬】
プレドニゾロン(プレドニン®)など
【特徴】
炎症を強力に抑える薬で、急性増悪時に使用します。
【注意点】
長期使用は副作用が多いため、できるだけ短期間の使用に留め、漸減します。
③免疫調整薬
【代表薬】
アザチオプリン、6-メルカプトプリンなど
【特徴】
自己免疫の異常反応を抑えることで、再燃を防ぐ「維持療法」として用います。
【使用時の注意】
定期的な血液検査で副作用の管理が必要です。
④生物学的製剤(バイオ製剤)
【代表薬】
・インフリキシマブ(レミケード®)
・アダリムマブ(ヒュミラ®)
・ゴリムマブ(シンポニー®)
・ベドリズマブ(エンタイビオ®)
・ウステキヌマブ(ステラーラ®)
・リサンキズマブ(ステラーラ®)
・ミリキズマブ(オンボー®)
【特徴】
抗体製剤として、炎症を引き起こす物質をピンポイントでブロックします。
【対象】
中等症〜重症の潰瘍性大腸炎・クローン病で、他の治療に反応しない場合などに使用されます。
⑤JAK阻害薬・S1P受容体調節薬(新規経口薬)
【代表薬】
・トファシチニブ(ゼルヤンツ®)※JAK阻害薬
・オザニモド(ゼポジア®)※S1P調節薬
【特徴】
経口で服用できる新しいタイプの免疫調整薬。生物学的製剤が使えない方にも有効な選択肢です。
【使用時の注意】
感染症リスクや血栓症などに注意が必要です。
⑥栄養療法(特にクローン病)
【内容】
経管栄養を含めた成分栄養剤(エレンタール®など)による腸管安静と栄養補給、短腸症候群の患者様の在宅中心静脈栄養療法
【特徴】
腸に負担をかけたくない急性期や手術前後、成長期の患者さんに有効です。
その他のサポート
•心理的サポート
(IBDは精神的ストレスも症状に影響するため)•生活習慣指導・食事指導
•定期的なモニタリング
(血液検査・内視鏡検査・画像検査)よくある質問
JAK阻害薬や新しい飲み薬にはどんな特徴がありますか?
JAK阻害薬(例:トファシチニブ)は、炎症を引き起こすサイトカインのシグナル伝達を細胞内で抑制する飲み薬です。 注射が必要な生物学的製剤とは異なり経口投与が可能で、生物学的製剤が効かない場合や使用が難しい患者にも選択肢となることがあります。
生物学的製剤は誰でも使えますか?
重症例や従来の治療で効果が不十分な場合に適応となります。副作用や保険適応をふまえた判断が必要です。
ステロイドは長く飲んでも大丈夫ですか?
ステロイドは炎症を強く抑える反面、副作用のリスクもあるため、短期間の使用が基本です。長期使用は避け、他の治療へ移行します。
IBD治療はいつまで続ける必要がありますか?
IBDは慢性疾患のため、寛解後も再燃予防のために治療を継続することが推奨されます。自己判断での中断は再燃のリスクがあるためやめましょう。
治療薬は将来的に変更になることはありますか?
症状の変化、副作用の発現、効果の減弱などにより、治療薬の見直しを行うことがあります。まずは定期的な受診と検査で病状をモニタリングしていきます。
症状が落ち着いているときも通院は必要ですか?
寛解期でも定期的な検査や服薬管理が重要です。再燃の予防や体調の変化に早期対応するため、継続的な通院をおすすめします。
IBD(炎症性腸疾患)は完治しますか?
IBDは慢性疾患であり、現時点では根治療法はありませんが、適切な治療で長期寛解を維持することは可能です。
食事制限はありますか?
症状や病期により異なります。クローン病では脂質や食物繊維に注意が必要なことがあります。管理栄養士による個別指導も可能です。
他院から転院はできますか?
可能です。紹介状があるとスムーズですが、初診からのご相談も受け付けております。まずはお気軽にご相談ください。
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中山クリニック 内視鏡センター明石西
〒674-0071 明石市魚住町金ヶ崎370
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